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オーラルフレイルと訪問歯科診療
当院では、患者さまが健康で過ごしていただけるように「オーラルフレイル」の考えを取り入れた訪問歯科診療にも力を入れています。
「オーラルフレイル」とは「Frailty(衰え)」の意味で使われている「フレイル」と「Oral(口腔)」を付け足したもので「口腔内の衰え」を意味します。口腔内の機能が弱まってしまうと、咀嚼機能低下や摂食嚥下障害、誤嚥性肺炎など患者さまの健康を損なうケースに繋がります。
健康を損なわないように、当院では訪問歯科診療を通じて、一般的な歯科治療や入れ歯の調整・修理・作製、口腔機能訓練を提供しながら口腔内の「感覚」「咀嚼」「嚥下」「唾液分泌」等の機能を取り戻せるようアプローチをおこなっています。
訪問歯科診療の内容・進め方について
治療内容
- 診療室で行われている歯科治療は、往診でもほぼ可能です。
- 虫歯や歯周病の治療、入れ歯の調整・修理と新規作製。
- 口腔(こうくう)ケアによる、感染症と誤嚥性(ごえんせい)肺炎の予防。
- 嚥下(えんげ)訓練、摂食機能療法など。
訪問歯科診療の進め方
訪問診療のご相談、ご依頼を受けて、お口の状態や全身状態のチェックをします。
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検診結果と治療方法についてご説明をします。
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ご理解いただいた上で、患者さまに合った方法で治療をします。
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継続的に口腔ケアを行います。
訪問診療時の口腔ケア
介護施設やご自宅で歯科診療を受けられる患者さまの多くは、お口をご自分できれいにすることが困難です。また、お口の周りの筋肉や食べ物を飲み込む力に衰えが見られることもあります。
そのため、口臭が強くなったり虫歯や歯周病が悪化したりします。さらに、お口にいる細菌が誤って気道に入ってしまうと、誤嚥性(ごえんせい)肺炎の原因になる恐れもあります。それを防止するため、歯科医師の指示のもとで歯科衛生士が行うのが、口腔ケアです。
口腔ケアは、お口の中を清潔にするクリーニングと、噛んで飲み込む力を取り戻す機能訓練もおこないます。
主な機能訓練は、だ液の分泌を促すマッサージや、お口の粘膜を整えて血行を促すマッサージ、お口の周りと舌の筋肉を鍛える体操などがあります。また、患者さまご本人の食べることへの意欲を引き出すことににも力を入れています。そのため、ご家族の方に若い頃に好きだった食べ物をお尋ねすることもあります。
一方、クリーニングは、患者さまがうまくお手入れできない奥歯や歯の隙間、歯茎との境目などをきれいにします。入れ歯を使っている方でしたら入れ歯にも汚れや細菌が付いていますので、入れ歯のお掃除もおこいます。
誤嚥性肺炎とは
お口の中には多くの細菌が存在しているものの、健康な方は気道に入ることはあまりありません。たとえうっかり食べ物と一緒に入ったとしても、強くむせることで出すことができます。しかし、介護を必要とする方の多くは、次の特徴が見られます。
- ご自分でお口の中を清潔にすることができない
- むせたり咳き込んだり力が弱い
- 飲み込む時に気道がきちんと塞がっていない
- 免疫力が低くなっている
そのような状態で細菌が食べ物と共に気道に入り、それが原因となって肺炎を起こすことを誤嚥性肺炎と言います。 誤嚥性肺炎を防ぐには、お口の中を清潔にすることが欠かせません。そして、うっかり気道に入ることがないよう、お口元や舌を動かす筋肉を鍛えておき、むせるときに必要となる腹筋を鍛えることも大切です。
摂食嚥下障害とは
摂食嚥下とは「食べ物を認識し、飲み込むまで」の一連の流れのことです。普段、私たちが無意識におこなっている一連の流れの中でどこに問題があるのかを突き止めることが摂食嚥下障害を取り除く一歩になります。 例えば、認知症を患われている方は、食べ物とそれ以外を見わけることが難しいときがあります。また、口に含むことはできても口周りの筋肉が麻痺しているせいで、食べ物をこぼしてしまうケースもあります。さらに、噛むところまでは問題なくても、つばを出す機能に障害があると、うまくものを飲み込むことができません。このように考えられる原因は多岐に亘ります。 「なに不自由なく食べられる」という患者さまの喜びを守るために、ケアマネージャー、施設などと連携しながら、患者さまのお口の健康をサポートします。